お久しぶりです。「ひとりごと」とかいうカテゴリーも初めてみましたが、少し愚痴っぽい話が多くなるなと思い更新が滞っておりました。今回は久々にちゃんとしたブログということで一部の人に楽しんでいただけたらいいなと思ってパソコンに向き合っております。
さて、今回は久々に映画を見てきたのでその感想のようなものでも書こうかなと思います。何故か映画館へはライブを見にいく回数の方が多いのでかなり久しぶりの映画鑑賞でした。私としてはそれこそワイルドスピードとかボヘミアン・ラプソディ以来でしょうか。今回鑑賞した映画は2021年2月26日から3月11日まで2週間限定で公開される『GET OVER ーJAM Project THE MOVIEー』という最強のアニソンボーカルユニット"JAM Project"をテーマにしたドキュメンタリー映画です。
jamproject-movie.jamjamsite.com
注: 今回はネタバレ?というか本編に触れた形でブログを書くつもりなので真っ新な状態で鑑賞したい方はブックマークにでも入れて終わってからご覧ください。
初めに
映画の構成はざっくりと20thアルバム「The Age of Dragon Knights」の収録風景~予定されていた20th記念ツアーをメンバー個別のインタビューや過去の出来事やライブ映像を交えながら辿り、後半に「今と未来」が表れるような構成でした。今回はそんな映画を本編構成を軸に印象に残ったことや考えたことをブログに残していこうと思います。まだ1度しか見ていないので本編の記憶違いがあれば申し訳ありません。まずは全体的な私の感想を箇条書きしておきます。
- JAMの「これまで」と「これから」。JAM Projectを少しでも好きな人にはこの映画を見て欲しい。アニソン界のレジェンドとも呼ばれるJAM Projectの思い、心構えを見て欲しい。きっとこれからの応援の仕方が変わってくるはず。
- JAM Projectをまだ深く知らないアニソンファンにも見て欲しい。
- パンフレットには5人のインタビューが全文載っているので購入必至!
そう聞いた時は映画館でJAMの皆さんを見られるなら行くぞと本当に軽く考えていました。映画館でライブ映像を見ることが出来れば絶対楽しいぐらいに考えていました。しかし、いざ鑑賞すると今の世の中やJAM Projectそのものについて深く考えさせられる内容でした。脚色されていない本当のドキュメンタリーの威力を目の当たりしました。そんな映画で感じたことをここからパートごとに述べていきたいと思います。
忘れていた想いを呼び覚ますオープニング
最初は「20周年に向けエイエイオー!」のSKILLのライブ映像から。途中からは過去の2003年からのSKILLのライブ映像が重なっていき、また最新の映像まで順に上がっていきます。最後はスーパー遠藤タイムとともにタイトルが表示されるというものでした。感想は「エモいってこのシーンのためにあった単語なんだろ」です。エモい。JAM Projectが過去から歩んできた道のりが最初の数分~10分ぐらいに凝縮されていてそれこそ走馬燈のような、置き場所が分からなくなるぐらい歴史のワンシーンたちを見せつけられました。そして何より、このご時世です。私としてもライブに最後に参加したのは忘れもしない2020年2月26日。そこからこの映画を見た今日までの1年間は配信ライブこそ視聴したものの、やはり自宅でイヤホンをつけて聴くようなライブしか経験出来ていなかったわけです。久々に体全身が、魂が揺さぶられるような音響で音楽を聴いたのが本当に久々すぎてもうそこだけで泣きそうになりました。いや、恥ずかしながら泣きました。映像の中の我々は数年後こんな世の中になるなんて思いもせずに無邪気に歌い、ジャンプし、コール&レスポンスをしています。ほんの1年前はこれが日常だったなという思いにさせられ、さっきの大音量の音楽の嬉しさと共に少しだけ悔しさも湧いてきました。しかし、この時に流れている楽曲は「SKILL」。久々に心の中で歌いながら映像を眺めていると、完璧に歌詞を覚えている自分がいることに気づきました。知らない間に右手は拳を握りしめ、もう少しで掲げそうなぐらいは気分が高揚していました。JAM Projectの楽曲のすごさってこういうところだと思いませんか?どんな感情でも一気に引き受けて最高の気分にしてくれるような。この短時間の間に「JAMってやっぱりすごいアーティスト集団なんだな」と思いました。
レコーディング風景に見る達人たち
この後の映像は20周年記念アルバム『The Age of Dragon Knights』の楽曲を提供元のアーティストたちと収録する風景でした。昔の特典映像か何かでこういう風景も見たことがありましたが、GET OVERのそれは特に「プロフェッショナル」を感じました。─それぞれが個性を持ったJAMのメンバーが持ち味を最大限に生かすには、楽曲提供者の言葉や文字で伝えがたい世界観をどう読み取って表現するか…。現場でパートの変更を提案する風景も印象的でしたし、「クレッシェンドして最後ビブラート(?)」のような掴みどころの少ない注文も一見するとそつなくこなしてしまうメンバーたちに驚かされました。実際の収録風景は映画で見られた何倍も時間と試行錯誤が伴うと思いますが、「音楽ってこんな風に作られるんだな」と雰囲気だけでも体感出来た非常に興味深い映像でした。また、アニソン界のトップを牽引するJAM Projectを信頼し、追いかけ、時には共に歩む他のアニソンシンガー達を垣間見ることが出来たパートでした。
JAMのミッション─アニソンを海外へ
その後の映像ではAnime NYCというニューヨークでのアニメイベントに参加するメンバーの映像が中心でした。映画のポスターにもなっている後ろ姿はこの時のシーンだったみたいですね。ここではJAMは言わずもがな、海外でもトップクラスの知名度を誇るアニソンボーカリスト集団であることを改めて実感しました。世界中の人々がアニソンやアニメを通じて繋がっていることの偉大さを感じました。長老こと影山ヒロノブさんはたびたび「海外のアニメファンの熱気はすごい」という話をされていますが、なかなか映像で見る機会は少ないので「なるほど」と納得させられた気分でした。
メンバーたちの素顔
ここからは遠藤正明さん、福山芳樹さん、奥井雅美さん、きただにひろしさん、影山ヒロノブさんの5名を個人名義楽曲の歌唱映像も交えつつ、各パートで少しずつカットインしていたインタビュー映像を中心に構成されたパートでした。メンバー個人の話は知っているようで知らなかったりするので、こういう経験、思いをもってソロ活動はもちろんのことJAM Projectとしての活動に活きてきているんだということを再確認しました。中でも印象的だったのは奥井雅美さんのパートでした。パンフレットに全文載っているのとネタバレをすぎるので割愛しますが、「今あるものがいつまでもあると思っちゃいけない」という話にはうんうんと思わず首を縦に振りました。奥井さんの話では、このコロナ禍のみならずというところでしたが、このコロナでそれを強く体感した方も多かったのではないでしょうか。「ライブなんていつでもやってるし、いつか行けばいいや」…過去、私にもそんな時代があったのでよく分かります。でも私に言わせると、演者さんが亡くなったらもう見ることは出来ないし、好きな楽曲がもうほとんど披露されなくなるかもしれないし、もっと言うと"〇歳のアーティスト"という状態はもう今しかないことなんですね。この話は後にあった「今後もこの規模のライブ(大型ツアーなど)が出来るとは思っていない」という奥井さんの話にもつながるんだと思います。これはトップで居続ける難しさというか、周りから色んな環境を用意してもらえる感謝と期待に応えるだけの成果が残せるかどうかという苦悩なのかもしれないなと思いながら聞いていました。この映画は、普段はがむしゃらに前だけ見て突き進むJAM Projectも実は色んなことを抱えながらパフォーマンスをしていることが珍しくはっきりと表に出てきた記録ではないでしょうか。
2020年緊急事態宣言
まさか映画本編で前総理大臣の声を聴くことになるとは思いませんでした。(エンドロールに内閣官房 内閣広報室とあったのも2度見してしまいました)そうです、色んな準備・想いをもって挑んでいた20周年ライブもリハーサルを最後にして新型ウイルスによって中止を余儀なくされます。その際の緊急会議(?)の映像も本編にはありますが、本当に色んなことを思ってこのツアーにかけていたんだと(当然なのですけど)を改めて目の当たりにさせられてすごく悲しい気持ちになりました。こうしていつライブが出来なくなる状況がくるのかは誰にも分かりませんが、やはりライブに「いつか」「そのうち行く」はないんだなと感じ取りました。
こんな状況でも新しいことに挑戦し続けるのがJAM Project。そんな中で実現したのが2020年9月12日に開催された無観客オンラインライブ「JAM Project 20th Anniversary Special JAM FES.」だったんだと思います。その当時、私も視聴しましたが、当時とはまるで見方が変わっていました。メンバーたちがアニソン界を牽引しつづける思い、メンバーとしての今あるものがずっと続くとは思っていない考え、中止せざるを得なくなった20周年ライブにかける思い。それを全部飲みこんで見るJAM FESの「GONG」は強く胸に響きました。もしかしてGONGって泣き曲でした?少なくとも、数か月前に自宅のPCから見たGONGの映像とは違って見えました。ありとあらゆる不安な気持ちを全て受け止めてくれるような真っすぐな歌詞に今このタイミングで改めて感銘を受けました。影山ヒロノブさんのインタビューでは「2000年頃からアニソンがストレスの多い世の中を生き抜くために必要なアイテムになっていった」という話もありましたまさにこういうことだと思います。そういうアイテムとしてのアニソンを確立していったパズルのピースの1つがJAMのメンバーであり、JAM Projectだったんだと思います。影山ヒロノブさんは「これからのアニソンや特撮ソングはもっとロックになるべきだ」というレコード会社のプロデューサーの考えを受けて抜擢されたシンガーだったと思いますし、アニソンはださい子供向けのものではなく、誰もが勇気とパワーを貰えるものにしていった1人は間違いなく影山ヒロノブさんを初めとするメンバーではないかと思います。
最後に影山ヒロノブさんから前向きな言葉もあり、ファンとしては嬉しいエンディングでした。この映画のエンディング曲であり20周年アルバムの表題曲でもある「The Age of Dragon Knights」。映画の最後にして20周年のスタートラインにまた戻ってくる、「まだまだ始まったばかりだ」というJAMの秘めた野望のようなものを感じながらスタッフロールを見守り、アニメのヒーローたちの歌を歌うJAM Projectの存在そのものが我々やアニソンシンガーにとってのヒーローかもしれないなと思いながら映画館の席を立ちました。
最後に
コロナ禍の今に考えさせられるような内容でしたが、この映画の収録は2019年から始まっておりこんなエンディングになるとは制作陣はもちろん、メンバーも誰一人想像していなかったと思います。実録のドキュメンタリーだから制作陣が想像していたシナリオがあったのかどうかは分かりませんが、「20周年ツアーも無事に成功。バンザイ!」というルート分岐もあったのかもしれません。それはそれで見てみたかったですが、こんな世の中になってしまったからこそメンバーのJAMに対する本音ベースの思いを知ることが出来たのかもしれませんし、この映画があったからこそ情勢に抑圧された私が勇気をもらい、奮い立たせられたのだと思います。結果としてドラマチックなドキュメンタリーになった点は大いに評価したいと思いますが、やはりライブには行きたいですし、ライブで声は出したいです。どうにか2020年にはドラマチックにならない選択肢を選んで欲しかったなとしんみり感じました。とはいえ、いい映画なので興味を持った方は是非ご覧ください。
最後にJAM Projectのファンが絶対に一度は考えたことがあることについて書かれた記事が面白かったので紹介して終わります(Yahooのリンクが死んでたので元記事に修正しました)。ここまで読んでくださいありがとうございました。
なちゅらる(@clnct)