原稿用紙26枚目

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デレマスのサブスク、公式見解に対する違和感

後編:柏谷氏が述べたサブスク方針について

昨日の続きです。

 

↓前編はここから

collapiyo.hatenablog.jp

 前回は日本語コロムビアニュースリリースから、ベスト盤を除いて大半が「GAME VERSION」であることの惜しさを話しましたが、このニュースの前にCINDERELLA PARTY!が最速でこの情報を発表していました。

 その際に日本コロムビアの柏谷智浩氏が、シンデレラガールズのサブスクの方針についてお知らせしました。こちらです。

 私はタイムシフトで確認しましたが、ニュートラルに全文書き起こしされているこちらのツイートを引用します。

 柏谷智浩氏は初期からシンデレラガールズの音楽を手がける音楽プロデューサーです。発言自体には「なるほど。そういった制作上の制約もあるのか。」と気づかされたことがいくつもありますし、放送を確認したあとの感覚論では、「丁寧に」「伝わるように」「正直に」話されている印象を受けました。大前提として、ラジオを聞いた人と全文書き起こしで触れた人との間に、溝は間違いなく存在すると思います。

 

 納得出来る部分もあります。一方で、説明内容への違和感も感じます。柏谷氏のサブスクに絡む発言をいくつかピックアップしてみましょう。

 

「いかに再生数を稼ぐかが(制作)方針になってしまう。そうすると人気の高いアイドルの曲の方が作りやすくなり、(逆に)作りづらいアイドルが出てきてしまう」

 これは、制作のコストパフォーマンス的な判断をサブスクの再生数に依存されてしまうと言うお話です。例えば、クラブミュージック的な楽曲がサブスクでバズって、壮大なクラシカルな楽曲が伸び悩んでいたとした時に、「バズっている楽曲の第2弾を作ろう」というか「作りなさい」日本コロムビアの上層部もしくは大元のバンダイナムコエンターテインメントなんかに要求され、「シンデレラガールズの魅力であるバラエティに富んだ楽曲が減ってしまって良くない。」と言う主張だと思います。

本当にそうなのですか?

 これまでアイドルの個性を最大限に表現するためにゲーム・アニメコンテンツとしては異例の大御所を起用するなど様々な挑戦をしてきたシンデレラガールズを見ると「曲調」の話はあながち嘘ではないと思います。ですが、デレアニで声が付いたアイドルの展開を長らく見ていると「最近やっと報われてきた」状況ですし、人気度の話は聞こえのいい事を言っているようにしか思えません。

 当然、日本コロムビアの判断だけで曲が制作されている訳ではなく、色んな関係者が絡んで実現出来たり出来なかったりするのは分かっています。ですが、「シンデレラガールズらしさを守るために、サブスクはあまり良くないと考えている(主旨)」と言われても何も話が繋がりません。サブスクの再生数のみが意思決定材料の中心となる論拠がどこにもないからです。いっそのこと、「自由度の高い音楽制作は相当な費用がかかり、ライブ収益が直結しない日本コロムビアはCDで確実に利益を上げていく必要がある。だから客単価の低くなりがちなサブスクはやりたくない。」と言ってくれた方が納得します。まあ、そんなこと言ってもイベント興行収益の配分の話なんて消費者には知らないよってなるかもしれませんが。

「サブスクを追求すると3分程度の曲が多くなっている。これはGAME VERSIONの尺と同じ。」

 これは実際にそういうトレンドはあるんだろうなという気づきはありました。ただ、サブスクに関係なく「今時の若者、そもそも時間のかかることしたくないよね?」と考えてしまいます。以前、ニュースで「若者が大学のオンライン授業を倍速で再生する」とか「アニメを倍速で視聴する」とかそんな話題を見たことがあるのを思い出しました。ただ単純にサブスクの主要客層である若者が"短時間で終わる"を好んでるだけではないかと思いました。そういった若者をターゲットとするためにGAME VERSIONにするという判断はもしかしたら吉と出るかもしれませんし、凶と出るかもしれません。TLの話題は「GAME VERSIONで試聴してもらってフルを買わせる戦略。だから250円すら払えない奴は悪。」路線になっていますが、もしも、日本コロムビアが「楽曲数が膨大で今更追えないだろうからGAME VERSIONさえ手に取ってくれたらOK」と考えていたら、私が前編で書いた「アイマス興味アリ!」な人の動線がGAME VERSIONでも成り立っていますし、面白いなと思います。GAME VERSIONの話は意外と単純な構造をしていないのかもしれないなとも少し考えました。

 たださっきと同じ話ですが、サブスクに合わせた制作を求められる根拠が述べられていない違和感はあります。CD購入者がみなサブスクに乗り移る想定をしているのでしょうか?それとも今サブスクを利用している層をターゲットに展開していきたいのでしょうか?また、何故0か100かみたいな話になるのでしょうか?いずれにしてもサブスクを開始すると楽曲制作の自由度を無くしてしまうという話には、「サブスクのせいではなく、これを上手くコントロールするのが運営の仕事でしょ」と感じます。

 

 ここまで違和感、疑問と言ってきていますが、結局「サブスクをやりたくないのだろうな」とじんわり伝わってくる説明でした。やりたくないってのはやる気の話だけでなく、理解の無い上層部にあれこれ求められて制約が大きくなるとかそういったところも含めてです。

 ちなみに、これらの説明を「デレパ」という閉鎖空間で行ったのは策士だなと思いました。シンデレラガールズ流刑地だとかそういう笑い話ではなく、リアルタイムで聴くか毎週タイムシフトしているシンデレラガールズのオタクなら、この説明を聞いて「何を言い訳をしているんだ」とはならず「作り手側にそんな事情があったのか」だったり「サブスクってそうなんだ」という純粋な感想を持つと思います。それを想定しての行動だったなら、このコンテンツすごいなって思います。ちなみに全部私の感想なんですけどね。

 

それはそれとして

 ちなみに最初は批判全開で書こうと思ってじっくり考えているとGAME VERSIONのメリットデメリットってもしかしたらあるんじゃないかなと言うところまで来ました。なによりプロデューサーなのでね。しかし、「フルバージョンじゃない」ところに抵抗を感じる人も少なくないと思います。引退勢やサブスクでフルが聴けて当たり前の環境に居続ける現代人は特に。

 シンデレラガールズの入り口はアニメ、音楽、スマホゲーム、コラボ・・・と色んなところに転がっています。一方でハードルの高いコンテンツでもあります。歴史の長さから来るシンデレラガールズのコンテンツの多さは強みであり、弱みでもあるという話です。具体的に言うと、ハマった人には強みで、これから手に取ろうか迷っている人にその膨大さは弱みでしょう。と言うか、膨大なので「たった250円」が積み重なって何万円にもなるんですよ。そもそも。そういうのを、GAME VERSIONでハードルを下げられるなら面白いんじゃないかと思います。

 そう思いつつも、12月2日0時に突然ほぼ全曲がフルバージョンで解禁されたSideMがもうすぐ日付が変わろうとしている今でも大勢が話題にし、おすすめの楽曲をプレイリストを共有しあい、「おすすめの曲を教えてくれ!」とみんなが興味を持って盛り上がっている様子が正直羨ましい。これは今度開始するシンデレラガールズには起こらりきらない盛り上がりです。ビジネス的にどっちが正解かは知りませんが、ユーザー目線ではSideMの方が輝いて見えます。残るミリオンライブと765がどのような形態で出してくるか楽しみです。

 GAME VERSIONの効果も一定認めつつ、SideMは羨ましいこの状況。例えば、10周年で出たベストアルバムは全部フルで、他の最新楽曲はGAME VERSIONならもう少し状況が変わったかもしれません。ここはこれからの補強に期待しています。

 シンデレラガールズはこれからU149のTVアニメ化が控えています。一方で、長く続いてきたモバマスが終了します。ここからのシンデレラガールズのファン層はどのように移っていくのでしょうか。温かく見守りたいと思います。

 

以上。